TCI (総合感染症対策) とは?

TCI (Total Care for Infection) とは?

我々、人類は今や感染症の脅威に直面しています。 事実、エボラ出血熱やMERS(中東呼吸器症候群)の世界的規模の大流行、インフルエンザやノロウイルスによる感染症の流行など、私たちの周りには数多くの感染症の脅威が存在します。すなわち、ヒトは感染症に罹患するリスクを有しており、感染症の原因となる微生物 がうつる(伝播する)ため、感染症は個人の病気にとどまらず、社会全体の問題に発展していきます。人が営む社会生活のなかで、感染は常に起こりうると考えることが重要なのです。

このような状況のなか、大切なことは、私たちがいかに感染症に対応していくかです。感染症に正しく対応していくためには、感染症に対する知識を高めていくこと、そして感染症そのものや感染症の予防についての正しい知識を持っていくことが大切になります。

ヒトが感染症に罹患するリスクの高い場所はどのようなところでしょうか。
私たちはどのような場所で注意していくことが必要なのでしょうか。

家庭や学校、職場などの集団生活の場、医療環境、ヒトの往来が多い環境(駅やデパートなども含め)などは特に微生物がうつりやすい場所であり、感染症に罹患するリスクの高い場所として注意が必要です。また、感染症の特徴も知っておく必要があります。感染症の特徴は以下のことが挙げられます。

感染症の特徴

1.ヒトを選ばない

誰でも病原微生物に感染する可能性があり、例外はない。

2.原因となる病原微生物は目に見えないほど小さい

微生物はうつる(伝播する)ものの、目には見えないので、危険と感じないことが多い。

3.潜伏期(微生物が体に入り込み、増えていくための時間)がある

体の中で微生物が増えて、症状が現れるのはある程度時間が経った後になるため、 どこで感染を受けたのかわからない事が多い。

4.必ずしも診断が容易ではない

発熱や咳、下痢などの症状は感染症とは限らないため、診断が遅れる。
また、現代の医学でも感染症の原因となる全ての微生物を診断することは難しい。

そのために、感染症は知らないうちにヒトからヒトへ感染し、家庭や職場、医療施設などを超えて、地域社会全体、さらには世界全体に拡がっていくことになります。まさに感染症は社会にとっての“クライシス(危機)”になりうるわけです。
このような意味からも、感染症対策は実際に非常に難しいということになります。
そこで重要になるのが“Total Care for Infection : 総合的な感染症対策”という考え方です。
これは、先にもお示ししたように、組織や社会全体で感染症危機管理に積極的に取り組むとともに、個人個人が感染予防の徹底をすることで、感染症の危険をできるだけ小さくするという考え方です。すなわち、ひとつの方法だけでなく、さまざまな方法を総合的に行い、感染症にかからない、うつさないようにすることが重要なのです。

監修協力:
東北大学大学院医学系研究科
内科病態学講座
総合感染症学分野/感染制御・検査診断学分野